- Category:
- Architecture, Interior
- Location:
- Completion:
- 2020-12
- Photographer:
- Nao Takahashi
高校生向けに映像教材を作る会社が新たに学習塾を始めることになった。従来の集団授業と個人学習の二択には限界があり、オンライン学習が普及してきているという。オンライン学習の利点のひとつは、一人で勉強していてもネットワークを介して他の利用者や指導者等との繋がりを感じられるところだろう。オンライン学習専用のこの新しい塾では、集団と個人の間をデザインすることが重要と考えた。適度に緊張し適度にリラックスできる、ひとりで集中できて仲間をつくることもできる、勉強している姿がカッコよく見える、塾というよりラウンジやサロンのような場所、などの要点がまとめられた。そして行雲流水のような形のない、流れるような空間コンセプトに至った。
プログラムを廊下兼用の「スタディ・スペース」とそれを補助する「サポート・スペース」に分けた。前者を外から直接入れる連続空間とし、後者をその周囲に分散配置した。スタディ・スペースを曲面のタイル壁で囲うことで、中央の賑わいと周縁の落ち着きのメリハリをつけるとともに、人口密度の高い空間でも閉塞感や横並び感を感じさせないことを意図している。
図書館のように全体の明るさを抑えつつ手元照度を確保し、周りを気にせず集中しやすい光環境とした。真上からの強い照明を極力減らし、タブレット画面の反射やグレアを抑えている。またフリーアドレス席では机上UV灯を定期的に照射し感染症対策を行なうことができる。リラックスして長時間学習できるよう、コルク床、木質系材料、リノリウム等、自然素材・自然由来素材を中心に材料選定した。色や質感についても、強いコントラストをつくらず、やわらかな変化のある空間を目指した。
学習塾に限らず、情報化社会において人が集まることの目的は単純な情報共有ではなくなってきている。大きなオフィスに一斉に集まって働くことのデメリットが目立ちはじめ、「新しい働き方」への移行が叫ばれて久しい。学びにも同様の変革が訪れるだろうか。このような場所が増え、誰もが自由に自分らしく学ぶことができるようになれば良いと思う。
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