- Category:
- Architecture, House
- Location:
- 兵庫県神戸市
- Completion:
- 2019-06
- Photographer:
- Katsumasa Tanaka
六甲の家 -私たちの家-
©peakstudio
施主であるHさん家族は自分たちの暮らし方を見つめ直し、東京から地元である神戸へ戻り生活を再構築していく道を選んだ。
働き方も暮らし方もより多様化し、そして社会もそれを認め受け入れていく流れにある。 しかし、多様な価値観、暮らし方が認められる一方で、今の住宅生産のあり方は、それら個別のwellbeing(幸せな暮らし)の実現にどれほど向き合えているだろうか。
また一方で、自分や家族の価値観、wellbeingな暮らしとはどういうものか。 それを明確に答えられる住まい手も多くはない。
今や簡単に手に入る情報、日々流れ込んでくる広告、その中から自分が本当に求めていることを掴み取ることは難しい。
これまで歩んできた人生での経験、暮らしてきた場所・環境、家族や友人、地域との関係によっても個人の幸せの形は変わってくるだろう。
それらを掘り下げ、引き出し、家族の関係をも再構築していくために、家族各々をコーチングしていく専門家とコラボレーションした。
専門のプロコーチによる対話、アンケート等により各々(今回は夫婦)の原風景や想いの明確化を行い、お互いの価値観に触れる擬似体験をする。
その後改めて家族のための家として計画し直すというプロセスで設計は進められた。
この住宅のそれぞれの要素がHさん家族の原風景や理想の暮らしのシーンに由来している。1階のアルコーブベンチや、庭と連続したリビング、寝室から家族室を介して見える空、五角形のダイニングテーブルや家族室から聞こえてくるピアノの音…
旦那さんには「すべての場所がなぜこう作られているのか説明できる。自分にしかわからないけど、全部にストーリーがある」と言ってもらえた。こうしたひとつひとつが、愛着となり、これから先長く住んでいく上での家族の拠り所となるのではないかと思う。
*構造設計 GRAPH STUDIO
*プロデュース 株式会社W
*協力 村上卓事務所