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Category:
Architecture, House, Renovation
Location:
神奈川県川崎市
Completion:
2018-03

Sheep house


賃貸マンションの一住戸を子育て世帯向けに改修したプロジェクトである。
解体前のプランは高度成長期につくられたファミリータイプの3DK。面積に対して個室が多く、またその個室は外周部に配置されるため、家族の中心となるダイニングキッチンがとても暗かった。
現代の生活スタイルというものは、機能にあわせて多くの個室が1室1対応である必要はなく、多用途に用いられる場所が望まれる。また、子育て世帯に求められることは、子どもの安全が第一、そして、大人も安心して生活できることだ。子どものために全てを犠牲するのではなく、ある程度の距離感を保ちながら、少しでも快適に、楽しく子育てができないものかと考えた。

既存の間取りは極力残し、天井まである間仕切り壁を腰の高さにまで切り下げた。ファミリータイプの3DKがかつて描いた夢の再構築として、シンプルな手法を試みたかった。

死角をなくして、部屋をつくる。
それぞれが独立していた個室は、腰壁によって、場所を与えられながらも、視線・風・光・匂いを共有することで、水平方向へゆるく繋がった。

驚くほど明るくなったキッチンで料理をしながら、子どもが遊んでいるのが感じられる。
キッズリビングと名付けたその場所は、子どもが自由に過ごせる(放牧できる)場所であり、母親と一緒に寝られる場所であり、家族のリビングでもある。

これは、家族の関係性を捉え直すひとつの試みである。

 

*設計監理 PEAKSTUDIO
*笠木造作 小林 友和